タロットのこと。
マルセイユタロットの12番は【吊られ】です。
ライダー版だと【吊られた男】
このカードは一見、吊られるという特殊な状況、拷問されているようなシチュエーションにも見えます。だからか苦しいカードと見えるかもしれません。
しかしマルセイユ版ではむしろ逆です。表情から読み取れるものは静かで穏やか
精神的にも肉体的にも不動の様子です。
この不思議な図像には沢山の象徴が組み込まれていますが、総括すれば一旦目の前の問題から距離を置いた姿と言えます。
それも気楽に、です。
むしろ楽に、です。
まるで、次元を変えて今の状況を客観視するもう一人の自分の姿が見えてくるような、そんな絵です。
それは何のためでしょう??
そう、、言ってみれば、高い視座を取り状況を俯瞰するため。いわば一旦状況から距離を取る必要があって問題に最善の対処をするために、【敢えて吊られている】ようにも見えてくるのです。
ぶら下がることで重力に抵抗出来なくなります。結果、ともすれば悪あがきしそうになってしまう自分の一面を鎮めることもできるのは想像に難くありません。
では、自ら吊られているのでしょうか。
そのように見えてきますね。
実際、マルセイユ版ではこのカードにそんな意味を持たせています。
この絵の男は何かを隠しているようです。
後ろ手に隠したものはなんでしようか?
手の内は明かされていません。
今、後ろ手の中にある様々な玉のどれを選ぶべきかその答えが降りてくるのをじっと静かに待っているのかもしれません。
もしくは 最善の最強の持ち玉を選ぶために
じっと情報を集めているのかもしれません。
ただ、穏やかに。
吊られることで中立を保って。
このカードが出たときには、私たちは今を振り返って見ることがいいですね。
教えてくれることは何だろう。外ばかりに意識がむきすぎていないだろうか。
私たちは状況に振り回されそうになったとき
外に答えを求めてしまうことがあります。
けれど、宇宙に働きかけ世界に働きかける無限のパワーは常に内にあります。
自分の内側に向かうことで世界を変えていく力は発動するのです。
気づきのきっかけは人それぞれですが、この【内へ】という気づきを、タロットもまた指し示してくれるのですね。
視点の180度の転換は思わぬところからやってくるはずです。
タロットの12番。この絵を見つめていると、
ただ、我へと問いかけている声だけが聞こえてきます。
そう思っている、その根拠は何?
本当に、ほんとう?
もし、そうでなかつたら?
もしかしたら?
、、、
そうして、そこに私たちは
動き出そうとする微かな兆しが
キラリと輝くのを 見逃さずに発見するでしょう。
内なる黄金のカップの中に、、、
のんびりとした顔の【吊られ】は
そんな内なる問いかけの象徴です。